生活習慣病予防に漢方を活かしませんか?H26.12
岩並薬局(福井市渕2丁目820) 岡田喜代伸
みなさん、お正月はいかがでしたでしょうか?年末年始も休みなくお仕事をされていた方もいらっしゃれば、のんびり体を休められた方もいらっしゃるでしょうが、やはり良く食べてよく飲んだ!という方も多かったと思います。そのような方の胃腸は沢山働いてくたびれてしまっているでしょうから、食欲が落ちていたり、ムカムカして気持ちが悪かったり、下痢していたりという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時にお薬を飲むこともひとつの方法ですが、それよりも大事なことはまずは胃腸を休ませることです。昨日は「七草粥」を食べられた方も多いと思いますが、お粥は温かくて消化が良く、胃腸に負担をかけない代表的な養生食なので、お正月の食べ疲れの胃腸を休ませるのにはとても適しています。同じようなことですが、お正月に「お屠蘇」を飲むことも大切な養生法のひとつなんですよ。お屠蘇とは、お酒の中に「屠蘇散」と呼ばれる漢方薬を漬け込んだものです。この「屠蘇散」という漢方薬は、胃腸の働きを高めたり、体を温めて血行を良くすることで、冬の寒さから身を守り、風邪を予防する効果があります。年の初めにお屠蘇を飲むことで、家族全員の健康を願ったひとつの風習なんですね。こういった風習は中国から伝わったとされていて、医食同源の流れを汲んだ昔から伝わる生活の知恵です。中国や韓国では、大きな病気になる前の状態を「未病」と呼んでいて、この未病の段階でしっかりと養生することが、大きな病気に発展することを未然に防ぐことになるので、今でも生活の中に深く取り入れられているそうです。実は、日本にも戦前まではそのような習慣が色濃く残っていたのですが、最近では少しずつその影も薄れてきています。そこで本日は生活習慣病予防に漢方を活かしませんか?というテーマでお話したいと思います。
漢方というと、どのようなイメージがございますか?
漢方というと、「効果が表れるのには時間がかかる」とか、「難しくてわかりにくい」といったことを感じる方もいらっしゃると思います。でも、先程の七草粥やお屠蘇の様に日本には漢方から学んだ素晴らしい風習があちこちに残っていて、知らず知らずの内に漢方的な養生法を経験されていることが多いんです。漢方は元々「未病を治す」と言って、大変な病気にならないようにちょっとした小さな病気や体調不良の段階で積極的に体質改善したり養生することで、大きな病気を予防することに活用をされています。これは現在増えている生活習慣病の予防にも活用できます。漢方では、体の中に「いらないもの」や「害となるもの」があればそれを追い出し、体の中の「必要なもの」が不足していればそれを補うというシンプルな方法で、体の中のバランスを整えることを基本としています。例えば、肥満の場合を考えてみましょう。ちまたでは、肥満=食べ過ぎとか、カロリーの摂り過ぎと言われていて、ダイエットの中心はカロリーを減らすことを中心に行われているようですが、全ての方がその方法で成功されていないことも事実です。明らかに食べ過ぎであれば、カロリー制限をすることが一番の方法ですが、そんなに食べていなくても太ってしまうという方もいらっしゃいます。そのような方がカロリー制限をしてしまうと、エネルギー不足になり、冷えやすく、代謝は落ちるので、反って太りやすくなる方もいらっしゃいます。女性の方では体質とは違ったダイエットが原因で、生理が止まってしまったり、子供ができ難くなったりすることもあります。このような方の場合の多くは、胃腸の働きが弱く、体に必要な栄養が不足しているために代謝が低く、冷えやむくみやすい体質の方が多く見られますので、胃腸の働きを高めて充分な栄養を取り込める身体づくりをすることで、身体の代謝を高めて体重を減らすことが大切です。安全にダイエットを行うためには、ご自身の体質や体調を充分理解した上で、それに合ったやり方を実行することが望ましいでしょう。できれば専門の方にご相談なさって、ご自身の体質に合った方法を検討されることをおすすめします。
生活習慣病は、その名の通り生活習慣が原因で発症する病気です。間違えた生活習慣を送ることが原因なんです。間違えた生活習慣というのは、その方の体質に合わない生活習慣を行っていることですので、実は正しい生活習慣というのはひとりひとり違う訳です。みなさんひとりひとりの体質に合った生活習慣とはどのようなものなのかを知るために、一度漢方を取り入れてみてはいかがでしょうか?