外用薬の上手な使い方(湿布編)H26.9
テーマ「外用薬の上手な使い方(湿布編)」
「今まで湿布なんて使ったことが無い。」という方は、あまりいないはず。
ちょっと肩が凝ったから今日は湿布を貼って休もう・・・
今日は、そんな日常お世話になっている湿布についてお話をしたいと思います。
まずは種類から
ご存知の方も多いかと思いますが、湿布の種類は大きく分けてパップ剤とテープ剤の2種類が存在します。
ちまたでよく見かける市販の湿布にも、名前の最後にそのどちらかが付いています。
昔ながらの湿布のイメージが強い、白くやわらかいほうがパップ、茶色く薄い方がテープですが、パップ剤には水分が多く含まれ、痛みを和らげると共に、貼ったときにひんやりして熱を持っている場所を冷ます効果があります。一方、テープ剤はプラスチックのような素材でできており、水分を含まず厚みも持たないので、粘着力が強くしっかり貼ることができるようになっています。
このように、基礎となる原料の大きな違いによる特徴から、症状別に使い分けることができます。
基本的に、急性打撲やぎっくり腰など、急におこった痛みには炎症による熱が伴うため冷ます効果のあるパップ剤が良いかと思います。
慢性的に続く痛みの場合は、剥がれにくく目立たない、テープ剤の使用が基本ですが、水分が含まれない為かぶれやすい方も多いようです。
また、パップ剤には、冷却効果のある通常のタイプと温感タイプがありますが、温感タイプは温感成分として、唐辛子エキスが含まれている為、温かく感じます。ただ、入浴直前に剥がすとピリピリ痛くなったりするので、少なくとも入浴30分以上前に剥がしていただくようにお願いしています。
よく誤解されるのですが、「肩が痛いから温湿布が良い」と耳にします。
実は温湿布も冷湿布も水分による気化熱によって、肌の表面温度を下げてしまうので、筋肉の血行不良によって起こる症状には、テープ剤の方がお勧めです。
次にお薬によって起こるトラブルについてですが、ある一部の湿布は日光に反応して赤く腫れてしまうトラブルが報告されていますので、使用する前には袋の裏面などの説明・注意事項の表記や、お医者さんや薬局薬剤師からの説明をよく聞くようにしてください。たかが湿布、されど湿布。甘く見ては怖いことになりかねる場合もありますので、もし湿布が余っても、絶対に人には譲らず、またもらうこともしないでください。
あとは、基本貼ることによるかぶれ湿疹が主です。毎回同じ場所へ貼るのではなく、少しずつ場所をずらしながら貼っていただくことで、かぶれを予防することができます。
ここで、今度は剥がし方について
また剥がし方も、直角に一気に剥がすことは避けて、肌表面に負担がかからないように端の方からゆっくり少しずつクルクルと丸めるように剥がすと良いです。
剥がすタイミングも、温湿布以外はお風呂場でお風呂につかる前にシャワーで湿布ごと濡らしてから剥がす事をお勧めします。
痛みがあるのに、湿布でかぶれやすくて困ってらっしゃる方には、
スティックのりのような塗るタイプのものや、クリームやゲルタイプのように塗り広げるような痛み止めもありますので、湿布と交互に使ってみたり、そういった塗り薬を使ってみてはいかがでしょうか。
最後に余談ですが、貼り薬の未来の可能性についてお話ししたいと思います。
近年、多種多様の効果をもつ貼り薬が世に出ていることをご存知ですか?
心臓の負担を軽くしたり、パーキンソン病やアルツハイマー病の飲み薬の代わりとしてのテープ剤など、最近では、泌尿器科でもおしっこの回数を減らす治療にも貼り薬が使われたりと、
貼り薬=痛みをとる湿布のイメージから、どんどん変わりつつあります。
今後も様々な病気の治療に気軽に使いやすい貼り薬が開発されていくことでしょう。